第14章 コスプレするなら心まで飾れ 〜潜入準備〜
「……ねえ、本当にこれで乗り込むの?」
「あァ」
「そうだが?」
「……本当に、これで乗り込むの?」
女は2人の男に同じ質問をもう一度した。
「だから、そうだって言ってるだろ?」
「どうしたんだ、昏葉。2回も同じことを聞くなんて、お前らしくもない」
「……」
(こいつら、馬鹿なの?)
ー否、馬鹿であった。
女は大きくため息をついて、額に手を当てた。本当は頭を抱えたいくらいだ。
「この格好でどうやって春雨の船に潜入するのよ! 逆に目立って仕方ないじゃない!」
今、昏葉たちがしている格好は海賊がよく着ている長い丈の黒いコートに黒いズボン(昏葉だけはミニ丈のボトムス)、そして黒いブーツ。それから、銀髪の男は顔に大きな傷をマジックペンで描き、天然パーマの髪の毛を無造作にかき揚げているヘアスタイルにして、左手にフックをしている。一方、長い黒髪の男も同じく右頬にマジックペンで傷を描き、左目に眼帯をしている。ーー明らかに怪しい輩だった。と言うか、痛い。この年齢でコスプレは痛い。
「決まってるだろ。海賊になりたいから、面接を受けさせてくれと言って中に入るんだ」
「こんなご時世に、海賊になりたいとか言う馬鹿がどこにいるのよ!? ここにいるけど!」
「世界に1つしかない“ひとつなぎの大秘宝”を手に入れるために、俺たちは海賊になるんだ!」
「それもう別のアニメになっちゃってるから!? ここ夢小説だから怒られないけど、普通だったらすっごく怒られてるよ!? 銀魂は別だけど! ちゃんと許可取ってんのか知らないけど!」