第13章 コスプレするなら心まで飾れ 〜荷物の重さ〜
ーーそんな男のところへやって来た、2人の子供たち。
「また、いつの間にか背負いこんでんだ。いっそ捨てちまえば楽になれるんだろうがー、どうにもそういう気になれねェ」
「……」
女は黙って男の言葉を聞く。
「荷物(あいつら)がいねーと、歩いててもあんま面白くなくなっちまったからよォ」
ーー男にはまた、大切な人たちが近くにできたらしい。
「仕方あるまい」
それまで、座ってただ話を聞いていた桂が立ち上がった。女も続けて立ち上がる。
「お前には池田屋での借りがあるからな」
「私も、この前泊めてもらった借りがあるわ」
銀髪の男の両隣へと2人は歩いて行く。
「行くぞ」
「ええ」
「あァ?」
怪訝な顔をして、真ん中にいる男は両隣の男女の顔を交互に見た。
「片手では荷物など持てまいよ」
「今から私たちがあんたの左腕よ」
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