第12章 コスプレするなら心まで飾れ 〜降ってきた事件〜
「……」
昏葉は考え事をしながら、裏道を歩いている。
(さっきの噂……何か引っかかるわね……)
ーテロ活動ではないが、人間に危害を加えていることは確かだ。
パリンッ
「?」
(ガラスの音?)
周りを見渡すが、どこの建物のガラスも割れていない。
「気のせい……」
ドンッ
「!?」
近くの建物に何かが落ちてきて、大きな音がした。
(何!?)
刀に手をかけながら、ゆっくりと建物の中へと入って行く。少し進むと、人影が見えた。ーー白い頭の天然パーマ。ーーあれは……。
「!? 銀時!」
そこには、数日前に再会した男が倒れていた。
「銀時! 銀! しっかりして!」
昏葉は急いで銀時のそばに行き、体を起こそうとした。
(……骨が折れてる)
女は長年の勘で、左腕と肋骨が折れていると感じた。ーー今、無理に動かすのは良くない。
(……どうしたら……)
「何だ何だ!?」
昏葉が悩んでいると、外から男の声が聞こえてきた。
鋭い目線を建物の入り口へと向ける。そして、刀に手をかけて、何かあった時に備える。
「何があった!?」
「いきなり空から人が降ってきたんだ!」
「何かあるといけねェ! 誰か、桂さんに連絡しろ!」
「!」
ある人物の名前を聞き、昏葉は反応した。
(桂……?)