第7章 何よりも自分の命を大切にしろ 〜見上げた満月〜
「……本当かよ」
少し笑いながら、銀時は昏葉に聞いた。
「本当よ。あんたに嘘ついてどうするの?」
女は男を見た。
「あんたにはどうせ、全部お見通しなんだから……嘘ついてもバレることはわかってんのに」
「……確かにな」
男は苦笑した。
「それに……私たち4人はそういう仲でしょ?」
真っ直ぐ、黒い瞳に見つめられて、銀時の胸は高鳴った。
「私たちは誰かが違ったら、他の誰かが殴って道を正す。そうやって、今まで生きてきた」
「じゃァ、俺が違ったら、殴りに来てくれるのか?」
その発言にびっくりして、女は目を見開いた。が、次の瞬間、可笑しそうに笑いだした。
「あははっ、ドSのあんたがそんなこと言うなんて……一体、どうしたの? ここに住んでて、ドMになっちゃった?」
目尻に涙を溜めて、昏葉は笑っている。そんな彼女を見て、男はその細い腕を掴んだ。そして、自分の方に引き寄せた。
「え……」
昏葉が気付いた時には、銀時のたくましい腕の中にいた。
「ぎ、銀!?」
そのまま、男は女を抱え上げた。ーー要するに、お姫様抱っこの状態だ。それから、躊躇することなく、家の中に入って行った。
+