第24章 親子ってのは嫌なとこばかり似るものだ 〜危険な男〜
「高杉、じいさんけしかけたのはお前か?」
「けしかける? 馬鹿言うな。立派な牙が見えたんで、研いでやっただけの話よ。分かるんだよ。俺にもあのじいさんの苦しみが。俺の中でも未だ黒い獣がのたうち回ってるもんでな。“仲間の敵を……奴らに同じ苦しみを……”、“殺せ”、“殺せ”と耳元で四六時中騒ぎやがる。銀時、テメェには聞こえねェのか? いや、聞こえるわけねェよな。過去から目ェ逸らしてのうのうと生きてやがるテメェに、牙をなくした今のテメェに俺たちの気持ちは分かるまいよ」
高杉は狂気を潜めた瞳を細めた。
「そう言えば、昏葉には会ったか?」
銀時はピクッと眉を動かす。
「あいつ、何も変わってなくてよ。今も、あのじいさん止めるために広場に行ってるぜ」
クククッと高杉は笑う。
「こんな時まで、人を助けるために刀を握るなんざ……相変わらず甘ェよな。あいつも、牙をなくしちまったんだろうな」
「……高杉よォ、見くびってもらっちゃ困るぜ」
「あァ?」
銀時が言葉を発した瞬間、高杉の刀を握り締めた。刃の部分を握り締めたため、地面には血が垂れる。
「獣くらい、俺だって飼ってる」
高杉は銀時が喋っている間に刀を動かそうとした、が……。
(う……動かねェ)