第8章 お酒の誘惑
「個室あります?」
関西弁を控えて話している。
バレるの防止にかな?
店員さんに、隅の個室に通された。
「ごめんな?
一応気づかれへんようにせんと…」
「分かってます。
大変ですね、大倉さん」
「まぁ、でも楽しいから」
「確かに、楽しいなら続けられますね」
「やろ?
花音ちゃんやって歌が好きやから続けられてるん?」
注文を済ませ、帽子を外しながら言う大倉さん。
「はい、好きです。
今日改めて感じました」
「やっぱり?
今日なんか楽しそうやったもん」
「はい、歌うって楽しいです」
「そうやろ。
今の花音ちゃん、見てて楽しーもん。
今まではなんて言うか、ちょっと苦しそうやった」
「やっぱり、そう見えてましたよね?」
「けど、なんか掴んだんやろ?」
「はい、もうヘコたれません!」
「おん、安心した」
と、優しい笑顔を見せてくれる大倉さん。