第7章 挽回
安田さんの元へ向かうと…。
「お疲れ様、花音ちゃん。
はい、マイクやろ?」
先に言われてしまった。
「あ、ありがとうございます。
お疲れ様です」
先に言われると、なんだか調子が狂う。
「先に言うのは反則ですって」
「そうなん?
だって花音ちゃん、いつも皆に言うてるから覚えちゃったんやもん」
確かに、毎回毎回同じことを繰り返し言っているような気もする。
「今日大倉とご飯行く約束してるんやろ?」
「あ、聞こえちゃいました?」
「おん。
大倉大食いな方やから、驚かんようにな」
「驚きませんよ、それぐらいじゃ。
すばるとか錦戸さんとか、安田さんが大食いなら少しは驚きますけど」
「ふーん、呼び捨てなんやね。
渋やんも亮も、食べる方やで。
どっちかって言うと」
「そうなんですか」
「楽しんで来るとええよ、硬くならずに。
じゃあ、気をつけてな?」
「はい。
今日はありがとうございました」
マイクを片づけ、大倉さんの元へ向かう。