第7章 挽回
「元がええ花音やから、上手くなったんやろ?
俺かて心込めて歌ってるんやから」
「それは、まだ何かお前の歌にも足りひんもんがあるってことや。
花音の場合は、足りひんもんが心やったってだけの話や」
いつの間にか休憩に入っていたすばるが、口を挟んだ。
「…なんなん?俺に足りひんものって」
「それは自分で考えな意味ないやろ。
ヒナなら、気づける筈やで」
「おん、せやな」
この場を上手く収めたすばる。
なんか、流石だなぁ…。
「花音も本番では、もっと心込めて歌えや。
ライブやと、俺も気合入ってるからな」
「うん」
かき消されないように、頑張らないと。
「花音ちゃん、最近可愛くなったなぁ。
恋でもしてるん?」
「え?し、してないですよ!」
丸山さんの唐突な発言には、毎回驚かされる。
すばるはすばるで、声を殺して笑ってるし。
安田さんと言い、丸山さんと言い…そんなに分かりやすいのかな?私って。