第7章 挽回
ほどなくして、新たな曲が流れる。
集中しなくちゃ。
曲調に合わせて、乗せる想いを変える。
「あ…」
すばる、今音外した。
本人は何事もなかったかのようにしてるけど…。
どうかしたのかな?
すばるが音外すなんて珍しいなぁ。
すばるの方を気にしていると…。
ヤバイ…。
私も音外しちゃった。
集中しないと…‼︎
曲が終わると、皆さんの目がすばるの方を向いていた。
「大丈夫?すばるくん。
どっか調子悪いん?」
「喉でも痛めたか?すばる」
全部、すばるを心配する声。
そうだよね、すばるのミスに比べたら私のミスなんて…。
毎回ミスする私と、普段ミスしないすばる。
「いや、大丈夫やで。
たまたまや」
チラリ、と目線を向けるすばる。
お前もミスしたの分かってるで、と言いたそうな目。
「すまん、止めてもうて。
全然大丈夫やから、続けてや」
「まぁ、すばるが言うんやったらな」
そしてまた、リハーサルが再開された。