第7章 挽回
…どう、かな?
前回よりは声が通ったと思うんだけど…。
曲が終わり、シーンとすると不安になる。
一瞬の沈黙が、今は凄く長く感じる。
「ええやん、花音。
その調子やで」
1番に声をかけてくれたのは、すばる。
「良かったぁ…」
思わず、溜め息と笑みが零れる。
「どうしたん?花音ちゃん。
今日は随分と声出てるやん」
次に声をかけてくれたのは、錦戸さん。
「あー、亮は知らんかったっけ?
昨日レッスンしたんや」
「え、そうなん?
通りで上達したと思ったわ」
「ありがとうございます」
「花音ちゃん、ナイス!
渋やんのアドバイスは、やっぱり的確やね」
「流石やなぁ〜」
「その調子やで。
まぁ、俺が言えたことやないけど」
「あとは堂々としてればええねん。
ミスった時の誤魔化し方教えたろか?」
「横山くん、余計なこと教えんでええよ。
花音ちゃんは、今のままがええ。
花音ちゃんらしさを盗ったら、意味ないやん」
口々に声をかけてくれる皆さん。