第1章 下野さんに憧れて
あと数ヵ月でこの高校は卒業する。
だから、私は、今までバイトでためていたお金を使って、上京する。
そして、下野くんの通っていた養成所、Nナレに通う。
とにかく、下野くんと少しでも近くなるように。
手の届かない、遠い存在にいる彼に、近くなれるように。
ふと、この瞬間に気づいた。
私の、下野くんに対する本当の気持ち。
どこかの、ゲームにあった。
「少しでも相手と近くなりたい、そう思うんだったらさ…自分に正直になりなよ」
「アイツのことが、好きだって」
そう、私は下野くんが"好き"なんだ。
憧れより、もっと強い意思。
私は、いつの間にか下野くんに対して恋愛感情を抱いていた。