第10章 翌日 ”灰羽リエーフ”は雨を呼ぶ。【全年齢】
日曜の朝の路地裏は薄暗く冷たい。
狭い空から差し込む日差しが少し眩しくて、朝の澄んだ空気をキラキラと光らせる。
人一人分程の細道をするすると背骨をしならせて歩いていく、太陽みたいな色の毛の猫の後をついていくと、こんな所まで来てしまった。
日陰に立ち止まって毛づくろいをする猫を捕まえようと息を止めて手を伸ばすと、タッチの差で塀の上に逃げられてしまう。
俺は風。早きこと風の如く。
俺は林。静かなること林の如く。
そして俺は、しなやかなること猫の如く。
塀を歩いて宙に飛ぶ猫を捕まえようと、俺も飛ぶ!!!
キャッ!!!!
「いってーーーー!!!、、、、って、うわ!!!!!す、すいません!!!大丈夫ですか!?」
俺が捕まえたのは、猫じゃなくて、藍色の着物姿のお姉さんだった。
『、、、ごめんなさい、私も前見てなくて、、、。あ、、、日本の人じゃない!?』
「俺ロシア人のハーフなんです!!ただロシア語は無理です!!!ちなみに英語も!!!」
『ふふふ。そうなんですね!朝から部活ですか?』
俺より背がちっこくて、黒い髪を一つにまとめたその人の後れ毛が風にふわりと揺れる。きっちりと着付けた着物の袖先から除く白い手首が太陽の光で白く光って、ちょっとドキドキする。
『、、、、、あの?、、、』
「わ!!!すみません、ちょっと見とれてました、、、なんでしたっけ?」
『えっと、、、部活ですか?』
「俺バレー部のエースなんです!!!これから朝練ですよー!!」
『エースですか!!凄いんですねっ!、、、私も部活に行くところです。』
まぁ、厳密にいえばまだエースじゃないけど!
着物で部活って何するんだ!?
「あの、着物で部活って何するんですか?」
『あ、私、茶道部なんです。休日の部活は着物着てやる事になってて。』
「さどうぶ?」
『えーっと、、お茶たてて、飲むんですよ!』
「あー!!!!俺ソレ知ってます!!あれですよね!畳で、シャカシャカーってやって、苦いやつ飲むんですよね!?」
俺が喋ると口元を抑えて、ニコニコ笑う彼女。
これが、ヤマトナデシコか!