第9章 23:19 "国見英"は遠くの空を見る。【全年齢】
6月だという割にはすっきりとした夜空が、窓枠の向こうに広がり、所々に小さな星が白く煌めいていた。
窓を開けると昼間の蒸した空気とは違った、さらりとした風が頬を撫でる。
大学に進学してもうすぐ2ヶ月になる。
高校の時と何かが変わるかと言ったら、そんなに大きく変わったものはないのかもしれない。
成り行きで金田一とは大学も一緒で、休みの日になると、花巻さんからLINEが来て呼び出され、及川さんがキャプテンだった時のメンバーで集まったり。大学で入ったバレー部の対抗試合でうっかり影山にあったり。そんな感じでなんとなく日々は巡っていった。
唯一、が神奈川に行ってしまったという事を除いて。
普段からそんなにベタベタした関係でもなかったし、部活が忙しかったから、二人で会う事だって正直今までそんなにできてなかった。
どちらかと言えばは寂しがりやだったけど、大学入ってからは、お互い忙しくなってLINEのやり取りも少なくなった。
今になって俺の方が寂しくなるってどういう事。
卒業式の時一緒に取った写真に映る彼女。
今もそのままなんだろうか。髪型が変わったり、しゃべり方が変わったりしているのかな。
そう思いにふけっていると、スマートフォンが着信画面に変わった。
『もしもし、英?、、、久しぶり。』
声、変わってない。
まぁ当たり前か。