第8章 21:06 ”黒尾鉄朗”は拾われる。【R18】
「店先で缶チューハイを飲んでるお姉さんについてって大丈夫なのか、若干不安なんですが。」
そう言って皮肉ってやると、あからさまに嫌な顔をする。
俺は立ち上がって彼女が持ってた傘を奪い取って逆に彼女に差し出した。
「んじゃ、おじゃまします。」
『なんか図々しいね、キミ。』
「気のせいです。」
俺が笑うと彼女は飽きれた顔をして傘に入った。
この日をきっかけに、俺はの家に頻繁に出入りするようになった。
は最初の印象とは違って真面目な性格のヤツだった。なんていうか、真面目が過ぎて損しちまうタイプで、小さなことに真剣に悩んで、一人でボロボロになっていく。そんなどこかほっとけないところがあって、いつの間にか恋人みたいな関係になってた。
は俺がバレー部の話をすると、凄くうらやましそうにその話を聞く。そして、話の最後にいつもちょっと悲しそうな顔をして、「なんでも持ってて生意気な奴。」と俺を皮肉った。
「なんでだよ。別にふつうだろ、だって持ってるものを俺も持ってるだけ。」
『持ってないよ。何にもないもん私。』
そう言う時はいつもデコピンをしてやる。
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『、、、ちょっと、、!、、、普通顔にかける?』
「あれれー。めちゃくちゃにしてーって言ったのは誰だっけ?」
『顔にかけていいなんて言ってない!』
「しょうがねぇじゃん、僕、興奮しちゃったんデス。」
ばか!
そう言ってはティッシュで顔についた俺の精液を拭き取って、丸めてゴミ箱にほん投げた。
『シャワー浴びる!』
「へいへい。」
風呂場でスポンジにボディーソープをつけて泡立てて、彼女の身体をくまなく洗う。
「なぁ。」
『何?』
「俺もさ、バレー辞めたら何も残らねえから。別に際立ってうまいわけじゃないしな。引退したら、なんも残らねえよ。お前と一緒。」
『、、、、うるさいよ。』
俺が笑ってみせると、彼女も少し笑った。
『ほんと、生意気な黒猫。』
end.