第7章 20:18 ”月島蛍”は君をさらう。【R18】【Ωバース】
雨は止まなかった。
Tシャツは水分を吸いきって、ジーンズは重みを増して肌に張り付いた。
下ろしたてのスニーカーは中まで浸水してもはやその機能を果たしていない。
メガネについた雨粒が視界を遮り、アスファルトの凹みに出来た水溜りを蹴る度に水飛沫が上がる。
でも、そんな事御構い無しに、僕は出来る限りの全力疾走で走り抜けた。
疲れるのは嫌いだ。
持久力なんてない。
こんなに全身ずぶ濡れになるなんてあり得ない。
それでも僕がこうするにはそれ相応の理由がある。
「くそっ、、、!、、一人でフラフラするから、、、っ!」
が必死な声で電話してきた公園に着いた頃には、僕はもう息が上がっていて、フラフラしていうことをきかない脚をなんとか動かして、彼女を探して回った。
雨に霞んでボンヤリと光る街灯の明かりを頼りに、あちこちを見回す。
『やだ!!、、ダメ!私に、近寄らないで!!お願いだから!!!!』
暗がりで人が蠢くのが見えて、声がした。
、、、!?
群がる数人の男たちは彼女の手足を押さえつけ、その薄汚れた手で彼女の身体を弄っていた。
近付くにつれて、甘ったるい香りがする。
、、、まさか、、、、
「ちょっと、何ダサいことしてるんですか。」
「あぁ!?なんだこのガキ、王子様気取りかよwww 俺たちはこいつが辛そうにしてるから、助けてやってるだけだぜ?ほら、こんなにフェロモン垂れ流しやがって、さすが性欲処理器のΩだっ!!」
『っ!、、ハァハァ、、月島くんっ、、、!』
「あんたらどうせβデショ。それ、僕のだから離れてくれます?」
「んだテメェ!!生意気な口聞きやがって!!」
胸ぐらを掴まれ啖呵を切られる。
まぁ僕の方が断然背が高いケドネ。
「、、、、、まだ、なんか言うことあります?」
冷たく蔑む眼で睨み返してやると、男たちは舌打ちをして、渋々その場を立ち去った。
雨に濡れ泥で汚れた彼女は、グシャグシャになって、力なくその場で横たわっていた。