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【相合い傘】〜水無月ノ君へ〜 ※R18含む

第6章 17:30 ”岩泉一”は雨音が聞こえない。【R18】





頬にかざる髪を耳にかける仕草にドキッと心臓が鳴る。



『はじめ?どうかした?』


「っ、、!、、、なんでもねぇ。」



彼女に話しかけられるまで、見とれていたなんて、絶対言えない。

受験生の俺とは学校帰りに市の図書館でテスト勉強をしていた。

大きなガラス窓から外を見ると、空は灰色に淀んで今にも降り出しそうな天気だ。



「、もうそろそろ帰らねぇ?なんか雨降りそうだ。」


『げっ、、本当だぁー!私、傘持ってないよー!』


「俺も持ってない。」



手早く参考書とノートをスクールバックにしまって、二人で席を立つ。
外に出てみると雷が鳴り始めていて、歩く人はどこか足早だ。

梅雨の灰色の雲が空を覆って、肌に張り付く様な湿度の高い空気を漂わせる。

青信号を渡り、交差点を左に曲がり5分も歩かないうちに、ポツリポツリと雨粒を感じたかと思えば、堰を切ったようかの様に一斉に雨が降り始めた。

おまけに雷が空を破くような音を立てて稲妻が光る。



「おい、一旦俺の家行くぞ!すぐだから!」


『う、うん!』



スポーツバッグからジャージの上着を出して、彼女の頭に被せ、手を引いて走り出す。




道路にはあっという間に水溜りが出来て、車が通るたびに水しぶきが上がった。

細い路地に入って住宅街に入り、傘をさしていない自転車とすれ違い、コンビニを通り越し、ようやく家に着いたかと思ったら、も俺も上から下までずぶ濡れだった。

玄関のドアを開けて、家に入って一息ついて彼女に目を向けると、俺はつい生唾を飲み込んだ。

衣替えしたての白い半袖のブラウスは濡れて肌にぺったりと張り付き下着の色が分かるほどに透けて、スカートから伸びる脚には雨粒が滴り、髪は風呂上がりのように濡れている。彼女のあまりに艶っぽい姿に、俺はとっさに視線を外して見てないふりをした。

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