第1章 ※
私が自室で彦兄ぃにおかゆを食べさせていると
廊下からドタドタという足音が聞こえてきた。
「あやね !開けるぞ!」
と障子越しに幸村様の大きな声がした。
「あ、幸村様?はい、どうぞ」
私は突然のことでびっくりしつつも、
幸村様を部屋へ招き入れた。
寝床から起き上がっておかゆを食べている彦兄ぃと
隣で食事の介助をしている私の姿を見て幸村様が
「あれ?」
とつぶやき目を丸くしている。
「え?病人?」
「いえ、3日も何も食べていなかったとかで。
いまおかゆを。」
「いやいや、しかし、見ず知らずの男を連れ込むなど!けしからん!」
「従兄弟なんです。
彦兄ぃ、いえ、彦左と申します。
母方の従兄弟なんです。」
「はい、あやね の従兄弟の彦左です。
この度はいきなりお邪魔してしまいご挨拶もせず…
申し訳ございません。」
彦兄ぃがおかゆを傍に置き幸村様に頭を下げる。