第5章 -嫉妬-(澤村大地)
すみれはそのまま動かなかったが、
暫くして口を開いた。
「大地?怒らないで聞いてね?」
「…ん?あぁ。」
「ちょっと…嬉し…かった。」
「なっ…⁈」
「わたしの中では、
大地が1番イケメンだよ。」
そう言うと、すみれは
オレをギューッと抱き締めた。
「大地がこんなに可愛いなんて
思わなかった♪」
「な⁈なんだよ⁈可愛いって…」
「”可愛い”は”可愛い”だよー。」
「可愛くはないだろ?」
「ううん。可愛いー。」
「すみれっ!」
「…っ⁈ふぐぐ…っ…んーー!」
オレは恥ずかしくなって、
すみれの口をおさえた。
「はいはい。可愛くないからなー。」
すぐにすみれの口から
手をはなしてやる。
「はぁーはぁー。もぉ!大地!」
「ははっ。なぁに?」
オレなんかより、
少し拗ねるすみれのほうが
よっぽど可愛い。
「大好きっ!」
…チュ。
…っ⁈
すみれはニコッとして、
不意打ちでオレにキスをした。
やっぱり…
すみれのほうが可愛いよな。
でも、オレはそれは口には出さず、
モヤモヤした気持ちを鎮めるように
またすみれを抱き締めた。
---End---