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〜Lemon Candy Story〜

第27章 -大胆-(岩泉一)


「岩泉くんてエースなんだねーー!」


チャリを漕ぐ背中があったかい。


そのあったかい背中から、
すみれさんは少し大きな声で
オレに話し掛けてきた。


「まぁ…一応…」


「なぁーにぃー?聞こえなーーい!」


ボソッと返したのが悪かったのか、
すみれさんはまた聞き返してきた。


「まぁ、一応…っつったんだよ!」


ちょうど信号で止まったので、
オレは普通にこたえた。


「そっかぁ。
エースの背中に掴まってるなんて、
なんだか贅沢だね。」


「…っ⁈な…なんだよ、それ⁈」


つぅか、後ろ向けねぇ…。


「落ちないでくださいよ?」


信号が青に変わったので、
わざとぶっきらぼうに言って、
またチャリを漕ぎ始めた。


すみれさんは少しは慣れたのか、
オレの背中にまたギュッと
身体を預けてきた。


「すみれさんもバレーするんすか?」


「…ううん。
さっき貞くんも言ってたけど、
わたし、ほんとに運動音痴で…。
でも、観るのは好き!
みんなやっぱり上手だったけど、
岩泉くん、
すごいかっこよかったよ!」


「な…っ⁈」


チャリに乗っているので、
お互い少し声を張りながら話していたが、
”かっこよかった”とか、
んなでけぇ声で言われたら…照れる。


「あ…!そこ右で…!」


オレが固まっていると、
すみれさんから方向の指示が入ったので、
オレは指示通りに右に曲がった。


「あ!ココ!」


家の前でチャリを停めると、
すみれさんはチャリから降りた。


背中に残る温もりが
なんだかすごく淋しく感じる。


「送ってくれてありがとう。
また明日もよろしくね。」


ニッコリ微笑むすみれさんを見て、
オレはどんどん自分の中で
大きくなる気持ちに困惑していた。


「さっき…」


「ん?なぁに?」


「オレのコト、かっこよかったって
言ってくれましたよね?」


だが、困惑したまま自分の中で
ウジウジ考えるのはオレらしくない。


「オレ…こんなの初めてだけど…」


…チュ。


「…っ⁈」


「一目惚れかも…」


今日会ったばっかりだけど、
気持ちが押さえらんねぇ…。


オレはジッとすみれさんを見つめた。


---End---


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