第5章 【SO】影山飛雄 〜言葉ハ雨ニトケテ〜
西「潔子さぁーーん!!貴女に会いに来ましたー!!あぁっ!!さんまで!!?どーしたんですかぁー!!」
西谷さんと田中さんが騒ぐ向こうに見えたのは、バレー部マネージャーの清水先輩と、あと誰だか知らない3年の先輩だった。
西谷さんにさんと呼ばれたその人は、涼しい顔をして飛びついてくる西谷さんを慣れた動作でさらりと交わした。
後ろに一つで束ねたポニーテールが動くたびにゆらりと揺れる。
朝練に行く時の夜明け前の空みたいな、静かで清々しくて、なんか心がざわめくような、、、なんか特別な雰囲気がした。
日「もしもし、影山さん!?」
日「おい!影山くん、なにぼーっとしてんだよ!」
影「、、、っせーよ。」
日向の馬鹿がムカつくから一発蹴りを入れる。
その後、またすぐにその人の方に目をやるともうそこにはいなくなっていた。
また会いたい。
ただ漠然とそう思った。
先輩に二度目に会う日はすぐに訪れた。
放課後、部活に行く前の事だ。
日「や、やっぱお前、先行けよっ。」
「はぁ!?お前がエース見たいって言い出したんだろ。」
日「だって、3年の教室なんて怖くて入れない。」
3年のバレー部のエースと呼ばれる東峰さんは三月の試合以降部活に来ていないという話を菅原さんから聞いた俺と日向は、3年の教室が連なる廊下を歩いていた。
適当に教室覗けば見つかんだろ。
そんな調子で端から教室を覗いていく。
「おい、東峰さんいるか?」
日「いや、多分いない。」
「お前、東峰さんの顔わかるのかよ。」
日「わからない!しかし!エースになる男には、どれがエースかわかるのです!」
「馬鹿か、お前。」
教室の入り口にひっついて二人で目を凝らして教室を睨みつける。
『、、、ちょっと。』
「あ?」