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ONE PIECE短編(仮)

第10章 (キッド、風邪、18禁)



(あー、熱かな。これは)

船の雑務中に、なんとなく感じた体のダルさ。
しかし、こんなことで止まってははいけないのだ。

『この船に弱ェやつぁいらねぇ。意味はわかるな?!』

スカウトされた時にも言っていたお頭の言葉が脳内をよぎる。他の船員たちと比べて力はないが技術はあるつもりだ。その技でもって今までやって来たし、認められた。
そして今やこの船で、お頭の横に立てるまでになった。

(船員としても、女としても横にたってる私が弱味は決して見せれない)

だが薬は飲もう。悟られる前に。




幸い誰もいなかった医務室に立ち寄り、薬を取ってから部屋に向かう。

(今日はもう当番はないし飲んだら少し寝る)

そして夕飯の時間までに起きておこうと思いながら自室のドアを開けた。

「…お頭。わざわざ部屋に、どうしたの?」

部屋の一人用のベッドを派手な赤髪がすでに占領していた。どこからか持ってきたネジと小さな鉄球のようなものを自身の能力で宙に浮かせながらクルクルと廻しながら言った。

「あー?敵影も島も見えねぇし、暇だったからな。だったらやるこたぁ一つだろ」

ギィと悪い笑みをりんに向ける。

「オマエもやることはもう無ぇんだろ?相手しろよ」
「じゃあシャワー浴びてきますね」

くるりとりんが背を向けるとグイと腰のあたりから後ろに引かれる。その力に抗うことはせずにそのまま倒れるとキッドの脚のあいだに収まった。

「キッド、能力の使い方が繊細になってる」

りんが二人だけでいる時の口調になる。

「あん?」
「いまの、ベルトの金属だけに使ってたでしょう?部屋の他の物に影響がなかったから」
「よく気づいたな」

キッドがすっとドアの方に手をかざす。
ドアは音をたててしまり、カシャンと鍵がしまった。

「さすが!コウジョウシン?」
「あー?馬鹿にすんなよ」

後ろからまわされた腕で抱きすくめられ、りんの背中とキッドの腹と隙間がなくなる。

(あぁ、バレませんように)

黙るキッドに内心焦り始める。

「…暑い、のか?」
「…期待してるの。これからの事に」

半身だけで振り向いて手をキッドの厚い胸板に置く。下から覗きこむ様にして目を合わせると疑うような目とあった。
誤魔化す為に唇を寄せる。

「…本当か?」
「期待しちゃダメ?」


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