第19章 【サボテンの花言葉】不二周助
「璃音、なに見てるの?」
さっきから、ニヤニヤして、なんて私の手元を覗き込む周助に、せめてニコニコって言って?なんて答える。
「あぁ、懐かしいな・・・アルバムだね?」
「そう、私達の誕生日の・・・」
そういって2人、目を細める。
ページをめくる度に広がる懐かしい思い出に胸が一杯になる。
2月29日
それは、4年に1度の特別な日。
私とあなたの大切な、凄く大切な
大切な誕生日____
【サボテンの花言葉】
アルバムの表紙をめくると最初のページには凄く小さい生まれたての私たちの写真。
家もご近所同士でちょうど30分違いの出産。
ちょっとだけお姉さんの私。
泣いてる私と既に笑ってる周助。
周助は産声の代わりにクスクス笑いながら産まれたのよ?
由美子お姉さんの冗談を本気で信じていた幼い頃の私。
2ページ目は4歳、初めての誕生日。
可愛いブレザーの制服を着て、ベルベットの帽子をかぶる幼稚園児の私達。
周助に抱きつきながらぽっぺにチューする私と、チューされてくすぐったそうに笑う周助。
璃音、大きくなったら周ちゃんのお嫁さんになるの!そんな私の無邪気で大胆な夢を微笑ましく眺める大人達。
おにーちゃんじゃなくて僕のお嫁さんになってよ!そうふてくされる裕太くんに、ダメだよ、璃音ちゃんは僕のお嫁さん、そう言って周助は黒い笑みを見せた。
3ページ目は2回目の8歳。
小学校2年生の私たち。
赤と黒のランドセルを背負って、毎日仲良く手をつなぎながらの登下校。
璃音のリボンとーった!放課後の公園で男の子達にからかわれた私。
泣きながら家に帰ると、怖い顔で公園へと向かった周助。
それは穏やかな周助が初めてした喧嘩。
傷だらけになりながらも優しい笑顔で差し出してくれたリボン。
周助に結びなおしてもらって凄くうれしかった。