第17章 【Valentine kiss】丸井ブン太
そのひたすら感じる甘さは、私がさっき食べたチョコのものか、ブン太が教室で食べていたものか・・・
それとも、ブン太とのキスそのものなのか・・・
でも、そんなことはもうどうでも良くなっていて、ただ何度も角度を変えて繰り返されるその甘さに、ただひたすら溺れていく。
「なぁ、俺、キスも天才的だろぃ?」
やっと唇が離されて、力が入らずにその場にへたり込む私の顔をのぞき込んだブン太は、そう得意げな顔でニヤリと笑う。
そんな余裕の笑顔を見せるブン太とは大違いで、立つこともままならない私は悔しくて、違うっ・・・そう精一杯強がってみるけれど、自分でも赤くなっているのがわかるこの顔では、いくら否定したところで全然説得力がなくて・・・
バカ・・・そう小さく呟いて頷くとその様子を確認したブン太は、だろぃ?そう私の頭をポンポンと2度かるく叩いて、またしてもニヤリと笑って言ったのだった。
「これからは、俺の天才的妙技、たっぷり味あわせてやるからな?」
あぁ、神様、これはいったい何の仕打ちでしょうか?
私はこの自信家の赤い髪の少年に、一生勝てそうにありません____
【Valentine kiss】丸井ブン太