第9章 【Can you marry me?】 丸井ブン太
指輪に花束、夢のようなシチュエーション
大好きなあの人からの素敵な素敵なプロポーズ
女の子なら誰でも一度は憧れる
一生に一度の甘い夢____
【Can you marry me?】~丸井ブン太~
「なぁ、これ、あと書いとけよ?」
今日珍しく2人ともお休みで、私の部屋で一緒に夕飯を食べていた。
お互い仕事が忙しいから、すごく久々のおうちデート。
本当は私、同僚に教えてもらったオシャレなレストランに行きたかったのに、ブン太にぜってー駄目だって断られた。
だから私、今日は一日ちょっと機嫌が悪い。
そんな私に構わずに、ブン太はデザートのケーキを口いっぱい頬張って、そして冒頭のセリフと一緒に一枚の紙を私に手渡した。
「・・・ブン太、これは・・・何?」
「みりゃ、わかんだろぃ?」
いや、確かにわかるけど!婚姻届けだけど!!
しかもご丁寧に、ブン太の名前が書いていて、しっかり判子まで押してあるけど!!!
「・・・意味わかんない・・・」
「あー?そこに見本あんだろぃ?間違えんなよ?俺、もう3回も書き直したからもう2度と書かねーぞ。」
「いや、そういうことじゃなくて・・・」
婚姻届けって結婚する男女が書くものでしょ!
なんで私があんたと書くのよ?と言うと、お、聞きたいか?と彼は身を乗り出して話しだす。
「俺はお前の作った飯が好きだ。」
・・・は?
「お前の作った飯はとてもうまい。」
・・・どーも。
「この飯を俺はいつも食っていたい。」
・・・ふーん。
「だが、今のままじゃたまにしか食えねぇ!」
・・・まぁね。
「なら結婚するしかねぇ!」
・・・んな単純な・・・
「どうだ?俺様天才だろぃ?」
なんというむちゃくちゃな理由。
それじゃまるで私が餌付けしたみたいじゃない?