第31章 【菊丸の憂鬱】菊丸英二
「ねー、みんなー、テニスして帰ろー?」
嬉しくてワクワクで、ジッとなんかしてられなくて、思いっきり黄色いボールを追いかけたくて、みんなに向かってそう声を張り上げる。
負けたら乾汁だかんなー?、そう挑戦的に笑えば、いいー?、なんてみんなの空気が変わりまた笑い合う。
みんなの最後尾、チラリと大石と璃音ちゃんが向かった方向に視線を向けると、また嬉しくて頬が緩んでしまう。
「英二せんぱーい、なーにやってるんすか!、置いていっちまいますよー?」
桃の呼ぶ声に慌てて振り返ると、ほいほーい!、今いくー!、そう返事をした。
11月28日___
「あ、あのね?、え、英二くん、お誕生日おめでとう・・・それでね、私、英二くんが大好き!」
大好きな璃音ちゃんから、そんな最高のプレゼントでお祝いしてもらえる誕生日を楽しみに・・・
足取り軽く、笑顔満点でみんなの元へと駆け出した。
【菊丸の憂鬱】菊丸英二
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