第10章 抑え切れない気持ち。
後頭部を引き寄せて
唇を重ねる。
他の誰かのモノだろうが
もうそんなんどうでもえぇ。
今、この瞬間
揺れる睫毛の奥にある瞳が
映してるのは
あの男でもなく
ヤスでもなくて。
夜が空けるまでは俺のやから…
「んっ…まっ…し、ふぁ…んん、」
合間に漏れ出す
何かを伝えたがってる声。
まだまだ唇を味わってたいから
気付いてへん振りをして
その声をキスで封じ込める。
あの男の元へ戻る前に
胸の中で溢れ出してる
愛しい気持ちを
声に出せばどうなるんやろ…と湧いた疑問。
困らせるだけや、と分かってても…
「好きや、」
伝えずには居られへんかった。