第1章 秋の終わりは始まりの合図。
時計の短針が5を
長針が12を差したと同時に
デスクから立ち上がる。
「お疲れ様でした」
定時ぴったりにタイムカードを押し
更衣室でパパッと着替え
誰よりも先にさっさと会社を出た。
今日は、世間でいう華の金曜日。
明日休みだから
街はたくさんの人で賑わうんだろうけどさ…
私にとっては、ただの週末。
外で呑むと高いし。
誰かの奢りなら
喜んで行くけど
呑みに行けるような
知り合いは居らず。
つまり、彼氏も居ないという訳で。
呑むなら、断然家での方が楽。
気を使わなくて済むから。
という、典型的なおひとり様だったり。
さて、今日の晩ご飯は何を食べようか?
そんな事を考えながら
ヒールを鳴らして歩く帰り道。