第6章 用意された舞台。
優しい彼が私から
荷物を取ろうとする。
慣れてらっしゃるのか
断り文句を思い付く間もない
スムーズなやりとり。
「マル、お前先に行くとか…」
「あ、すばるくん、えぇタイミング!人助け!」
「は?」
彼が呼んだ名前と返って来た声に
顔を向けると…
「あっ!渋谷さん!」
「え?あ、ちゃんやん」
ちょっと見慣れて来た
くしゃっとなる笑顔。
今日、会うの2回目だ。
すごい!
なんてラッキーな日!
早起きは三文の得って
こういう事なんだね。
平日でもない休みの日。
朝早くから起こされた甲斐があった。