過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第10章 眷属達の想い
「それで、私の他の問いには答えては貰えないのかな?ジャック」
エルヴィンが表情を変えること無く話を戻すと、
ジャックは肩を竦めながら「そうでした」と微笑う。
「我らと勝負致しませんか?スミス様」
「勝負・・・?」
「勝負と言っても戦闘ではありませんのでご安心下さい。
私はチェス、ジェリーはお酒の飲み比べ、
イサザはトランプで勝負するつもりですが如何でしょうか?
我らに勝ったら貴方様の欲しい情報を差し上げましょう。
悪い話では無いと思いますが・・・」
確かに悪い話ではないが出来過ぎている。
何か裏があると考えるのが妥当だろうとエルヴィン達は思った。
「此方が負けた場合は?」
「・・・そうですねぇ・・・、その場合は二度とナナシ様に
会えないとお考え下さい」
それは、エルヴィン達を殺すという事か、
純粋にナナシに会わせないという事か、
ジャックの言葉の真意を探ろうと観察するが、
変わらない表情から何も窺えない。
「勝負をせず、このままお帰り頂いても結構ですよ」
ジャックからの挑発にエルヴィンは逡巡した後、
「最後に聞きたい事がある」と尋ねた。
「この勝負をして、君達が得るものは何だ?」
「・・・・・・・・・・・」
その問いにジャックは黙った。
しかし、黙り込んだジャックの代わりにイサザがそれに答える。