過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第9章 逢いたい
「おまえ、馬鹿だろ?」
「五月蝿い。文句があるなら食うな」
「馬鹿言え。この材料は元々俺が金を出して買ったものだ。
そして対価として菓子を寄越すという約束だった」
ナナシの部屋で椅子に座りながら、
不遜な態度でクッキーを食しているのはリヴァイで・・・、
ナナシはクッキー作りに体力を使ったせいで
ベッドに逆戻りになっていた。
疲れただけで傷に支障はないが、明日は無理しない方が良いだろう。
クッキー作りでへばったナナシにリヴァイが小言を言いに来たのはちょっと前。
正直、耳が痛いのでリヴァイの小言を聞きたくない。
ナナシにだって馬鹿な事をした自覚はちゃんとあるのだ。
「自分を強姦した奴に普通菓子をやるか?とんだお人好しめ」
「・・・・五月蝿い・・・・・・・・」
自分だって何でそんな事をしたかわからないのだ。
エルヴィンを許せない気持ちは確かに存在するのに・・・。
「だがまぁ・・・俺はそんなおまえに感謝している・・・」
突然トーンを低くした声で呟いたリヴァイへ振り向くと、
彼は憂いを帯びた表情で視線を床に落としていた。