過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第4章 再び地下街へ
「改造前と改造後では感覚がどう違いましたか?」
「全てが新しいものに感じられたよ。感覚も鋭くなり、
力も格段に上がった。慣れるまで時間は掛かったが、
巨人と対峙するのに有効な手段だと当時は考えておった。
・・・じゃが、今では・・・」
ナナシもそうだったが、クレイグも『狼』が滅んでから
改造手術には否定的のようだった。
何故力がある者がそれを行使しようとしないのかと、
エルヴィンは歯噛みする。
弱者のままでは巨人という化物に搾取され続け、
滅んでしまうというのが何故わからないのだろうか。
エルヴィンの心情を察して、クレイグは子供に言い聞かせるように語った。
「確かに巨人には有効な手段じゃった。だが、同時に儂らは
巨人と同じ化物に成り果ててしまったんじゃよ。
見た目は人と同じでもその戦闘力が人類の脅威と判断されてしまった。
そして我らは王政に粛清され滅んだ。例え、あのまま巨人を
滅ぼしたとしても、我ら『迅鬼狼』の末路は変わらなかったじゃろうて・・・」
―――『迅鬼狼』!?
それが『狼』の組織の正式名称か。
しかし、王政に粛清されたとなると・・・