過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第36章 ナナシの遺したもの
「・・・死んだ」
エルヴィンの静かな声が室内に響いた。
「じょ、冗談やめてよね。だってエルヴィンは昨日ナナシと
お楽しみだったんでしょ?そんな冗談面白くも何とも無いよ~!」
ハンジが努めて陽気に言葉を紡ぎ、無神経に仮眠室のドアを
開け放った。
だが、そこに期待していたナナシはおらず、
ハンジは言葉を失い、立ち尽くす。
そこにあったのは綺麗に折り畳まれたナナシの兵服だけだった。
それを見たナナバは、走って部屋から出て行った。
恐らく、ナナシの部屋へ確認に向かったのだろう。
リヴァイとミケは静かにエルヴィンを見据え何があったか尋ねたが、
エルヴィンがそれに答える前にハンジが勢い良く彼に突進していき、
胸倉を掴んだ。
「まさか抱き殺したんじゃないだろうなっ!?
また、あんたはナナシに酷い仕打ちを・・・っ!!」
強姦の前科があるエルヴィンにハンジは噛み付いた。
「また無理矢理抱いて、ナナシの身体の事を考えず欲望を
押し付けたのか―――っ!?」