過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第35章 最期の夜明け
「エルヴィン・・・・」
「・・・・・うん?何だい?ナナシ」
「置いていってごめん・・・戻って来られるかもわからないのに・・・」
「大丈夫。君は約束を守る子だから戻ってくるよ。
・・・少し疲れて眠るだけさ」
「・・・皆にも・・・」
「俺から言っておくよ。ナナシは少し疲れただけだと」
「・・・・死んだ事にしておいて欲しい。その方が
スッキリするだろう?」
「馬鹿な事を言うんじゃない。スッキリなどするものか」
「エルヴィン・・・・」
「・・・・ナナシ?」
「・・・もう・・・眠くて・・・・」
そう言うとナナシは静かに目を閉じた。
エルヴィンは握っている手が震えないように奥歯を噛み締め、
身体に力を入れる。
「・・・ナナシ?寝たのか・・・?」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・お休み、ナナシ。良い夢を」
もう聞こえないとわかりつつも声が震えないように努力した。
ナナシをこれ以上心配させる訳にはいかない。
眠ったナナシの額に口付けると、ナナシの身体が一気に
砂状に崩れていった。