過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第35章 最期の夜明け
「・・・・ん・・・・・」
隣に眠っていたナナシが身動ぎしたので、
起きたのかと思い覗き込むと、彼は手探りで
エルヴィンの腕を探り当て、抱き締めるようにその手を取った。
エルヴィンはもう片方の腕でそれに応えるように、
ナナシの背中に腕を回す。
「ナナシ・・・もうすぐ夜が明けるよ」
「あぁ・・・だが、まだ違うだろう?もう少しこのままでいて欲しい」
珍しく甘えてくるナナシに愛しさが込み上げ、
チュッと額にキスを落とすとナナシは擽ったそうにまた身動いだ。
「じゃあ、最後にもう一度俺に『愛している』と言ってくれ」
ナナシは眠たそうにしながらも目を開け、エルヴィンを見つめた。
「お主から言ってくれないと言わぬ」
その言葉にエルヴィンは甘い痺れを感じつつ、
ナナシの耳元で何度も「愛しているよ」と告げた。
すると、ナナシもそれに返すように微笑みながら呟く。
「愛している、エルヴィン・・・」
「ナナシ・・・・」
「最期に言えて良かった」
「・・・・・え?」