過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第33章 ナナシの想い
本当は元通りになったこの『心臓』をナナシの身体に
移植してしまえば、後はもう何も憂うことが無かった。
しかし、先程言われたエルヴィンの言葉が頭から離れない。
『元恋人の『心臓』を手に入れた君は・・・未練を無くして、
あっという間に私の前から姿を消してしまうんじゃないかと・・・・―――』
エルヴィンの言った言葉を全否定出来ない自分がいた。
未練を無くした自分は、本当にあっという間に死んでしまいそうで
恐かった。
死ぬまで調査兵団の為に尽くすと誓った自分が、
何も出来なくなるまで動かなくなった身体に悲観して
早々に死を選ぶのではないだろうか・・・・。
役に立てなくなったらそこまでだと考えるナナシに対し、
エルヴィンは違うようだ。
動けなくなっても傍にいてくれと彼は言う。
動けなくなったら何の役に立てるというのだろうか?
エルヴィンは無駄な事を嫌うはずなのに、
どうしてそんな面倒を背負い込もうとしてくれるのだろう・・・。
介護されて迷惑を掛けるだなんて、ナナシは真平ごめんだ。
エルヴィンの気持ちに報いる事も出来ない癖に、
そんな甘えてもいられない。
――――だが・・・・
どうせ、残り少ない命ならば、いっそ・・・・