過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第31章 夢の残骸
「駒は勝ってこそ価値がある。敗者に用はない」
「・・・・それがお主のやり方か。賭けは私の勝ちだ。
潔く『心臓』を渡せ」
「・・・・・くっ!」
冷酷なカールの仕打ちにナナシ達三人は冷ややかな視線を送りながら
『心臓』の引き渡しを要求したが、勝負に負けたカールは
屈辱に顔を歪ませ、口を戦慄かせたかと思うと、
「殺せっ!!」と私兵達全員にエルヴィン達を殺すように命じた。
一気に襲い掛かってきた私兵達にエルヴィンとリヴァイは身構えたが、
これ以上二人に自分の尻拭いをさせる訳にはいかないと
ナナシは『攻式・陽炎』で全員を瞬殺し沈黙させる。
一瞬で敵を散らしたナナシにその場で生き残った者は戦慄を覚えつつも、
この力があれば・・・と思わずにはいられない程、
彼の力は圧倒的だった。
「あぁ・・・あぁ・・・流石は副長!その圧倒的で美しい力を私に・・・っ!!」
フラフラと近づいてきたカールを一瞥したナナシは、
容赦なくその首を切り落とし命を奪った。
「・・・カール、人の道を踏み外したお主はもうこれ以上
生きるべきではない。すまんな」
私のせいで・・・と独白するナナシは悲しそうに顔を歪め、
首を無くしたカールが抱えたままの『心臓』の容器を拾う。