過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第30章 続・不運な男
四人の帰り際、ナイルはナナリーを呼び止めて謝罪した。
「頼まれてた件、エルヴィンに漏らして本当にすまなかった」
「いえ、その件はもう良いです」
ナナリーの言い方に引っ掛かりを覚えたナイルは
「どういう事だ?」と首を傾げる。
「もう瑣末なことを確認するのは止めたのです。
エルヴィンはエルヴィンだから・・・」
「じゃあ、身を引くのもやめたのか?」
「・・・・さぁ?何せエルヴィンはしつこいから、
逃げても追ってきて捕まったら最後、酷い目に遭います」
「・・・え・・・・?」
目をパチクリさせるナイルにナナシは
「憲兵団の牢屋を一つ空けといて下さい」と笑って去って行った。
その言葉でナイルはエルヴィンがナナリーに
良からぬことをやったのだと察し、
本日何度目かになる血の気を引かせたのだった。