過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第25章 酒盛り
「さて・・・腹も減ったし・・・」
重箱を開けようとしたナナシはそこで重大なミスに気づいた。
重箱の中身は『おでん』だ。
具材は恐らく、玉子、大根、昆布、こんにゃく、しらたき、
ちくわ、はんぺん、厚揚げ、餅入り巾着、つみれ、
タコという所だろう。
それが実にマズかった。
この世界には海が無い。
現実的にはあるのだろうが、壁に囲まれた世界なので、
この際無いとしておこう。
問題は『おでん』の具材に海の幸が使われてしまっている事だ。
「この具材は何?」と聞かれても、
うっかり「海藻だよ」などと答えられるはずが無いのだ。
重箱を開けようとした体勢で一時停止したナナシを
不思議に思った三人は「どうしたの?」と首を傾げ、
「早く食べよう」と急かす。
未知の食べ物に対する貪欲さは、きっと凄まじいだろう。
ナナシは考えた結果、前置きをする事しか出来なかった。