過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第21章 不調の壁外調査
ナナシが巨人の気配を索敵出来なくなったのは、
恐らくエルヴィンを庇って銃弾を浴びた際、
肉体の損傷が激しかったせいだろう。
無理矢理修復して使っているこの身体は表面上回復しているものの、
完璧に能力が使える程回復していないのかもしれない。
「すまぬ。私の身体は思っているより回復していないようだ・・・・・」
どんなに悔やんで謝っても、失った命は戻らない。
自分の索敵能力が使えなかったせいで死んでしまった兵士を思うと
心が痛んだ。
脳裏に次々死んでいった『迅鬼狼』の仲間の姿が蘇り、
恐怖がフラッシュバックする。
自分がもっとしっかりしていれば彼らは死ななかったのではないか?
そんな想いがナナシの心を更に重くし、苛んだ。
「だが、索敵能力は使えなくてもナナシの戦闘力は以前と
変わらなかった。あっという間に視界に入った巨人を三体も倒したぞ」
ミケがフォローに回ってくれたが、ナナシの心は軽くならず、
エルヴィンは溜息を吐きながら冷静に言葉を紡いだ。