過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第21章 不調の壁外調査
ナナシは今、初列まで感覚を広げ索敵を行っていたはずだった。
だが、ナナシは巨人の気配を全く感じ取れていなかったのだ。
まさかと思い、感覚を更に広げ信煙弾が上がった初列の更にその先の・・・
巨人がいるであろう場所に神経を集中してみたが、
何か蠢くものがある程度の気配しか探知出来ず愕然とする。
人間の気配は完璧と言って良い程感じ取れているのに、
ナナシは巨人の気配を感知出来なくなっていた。
「―――ナナシっ!!」
動揺のせいでミケにそう叫ばれるまで、
取りこぼされた巨人の存在に気づかないまま、
ナナシは巨人に襲われ地面に叩きつけられた。