過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第21章 不調の壁外調査
―――二週間後、調査兵団は壁外調査に赴くために開閉扉の前で
開門の時を待っていた。
今回もナナシはミケ班と共に荷馬車の護衛に就いており、
以前と同じように広範囲の気配を探り、
巨人との会敵を防ぐ役割を与えられた。
「全軍進めーーーーーーーっ!!」
エルヴィンの号令と共に、調査兵団が壁外へ走り出し
長距離索敵陣形を展開すると、ナナシは予定通り
周囲の気配を探り始める。
まず荷馬車の周囲にいるミケ達の気配を掴み、
感覚を更に広げて陣形中央にいるエルヴィン、
初列にいるリヴァイ班の気配まで感じ取った。
「よし・・・怪我の後遺症も無いようだな」
瀕死の重傷を負ったナナシにとって感覚が戻っているか不安だった。
一応訓練中に気配を探れるか何度も試していたが、
壁内と壁外では状況が違うので、
壁外でもきちんと気配を感知出来るか不安だったが、
どうやら杞憂に終わったらしい。
このまま巨人と会敵せず、進めれば良いが・・・・と思っていると、
早速初列から巨人発見の信煙弾が撃たれ、
巨人を回避すべく進路変更の信煙弾が次々上がった。
そこでナナシはひやりと背筋を凍らせる。