過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第20章 エルドの恋愛相談室
兵舎の廊下を無我夢中で走っていると、
角を曲がってきた誰かとぶつかってしまい、
体重の軽いナナシは尻餅を着いた。
「すまない、前をよく見てなくて・・・って、あれ?ナナシさん?」
顔を上げるとそこにいたのはエルドで、どうやら自分は
エルドにぶつかったらしい。
エルドは服が乱れたナナシを見ると、すぐにナナシを立たせて
「こっちに」と空室へ連れて行った。
手近で空いていた倉庫に入ったエルドはまずナナシの衣服を整え、
どこかに怪我はないかと心配そうに尋ねる。
「一体何があったんですか?まるで・・・・その・・・・」
強姦されそうになった後のような・・・という言葉を飲み込み、
エルドは視線を彷徨わせる。
思わずナナシは半泣き状態になってエルドに縋りつき
「恐かった」と零した。
エルドは最初困惑したものの、根気強く妹(?)に接するように
頭を撫でてやりナナシが落ち着くのを待った。