過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第19章 八割まで戻せ
―――その日の午後、団長室ではすっかり団長の顔に戻ったエルヴィンによって
次の壁外調査や寄付金をどのように分配するか会議が行われていた。
集められたリヴァイ達幹部も真剣にエルヴィンの言葉に傾ける。
ナナシから受け取った多額の寄付金のほとんどを
巨人を生け捕りにする対特定目標拘束兵器に費やし、
残った資金は壁外調査や兵団の運営資金に当てることになった。
研究費用を貰えたハンジは目をギラギラさせながら興奮気味に話す。
「しっかし、ナナシも粋なことするねぇ~。
巨人を捕獲する目処が立ってあたし的には万々歳だわ!
あぁ、捕まえたらどんな滾る実験をしようかな」
「ハンジの言う通りだ。計画が頓挫していた拘束兵器の開発が進めば、
より一層巨人の生態がわかるようになるだろう。
そうなれば調査兵団としての存在意義も証明できる」
エルヴィンの言葉に室内にいた全員が頷いていると、
コンコンとドアをノックする音が響いた。