過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第18章 寄付してくれた婦人
ナナシ限定でのポジティブ思考を存分に発揮したエルヴィンの台詞に、
リヴァイとミケは砂を吐くような気持ちになったが、
ここで否定すると面倒なので放っておく事にした。
ぶっちゃけ、言いたいだけ言わせておけば良い。
ナナシは部屋の隅でいじけるように蹲ってしまっていて
表情は窺えないが、「クソガキめ・・・調子に乗りおって。
次襲い掛かってきたら全身の関節という関節を外して
ボコって放置してやる」などとブツブツ独り言を零していて
こちらもこちらで言いたいだけ言わせておいた方が良いだろう。
エルヴィンに対する不満を爆発させて暴れられたら、
また兵舎が壊れてしまう。
二人共我に返ればいつの通りになると信じて、
リヴァイとミケは応接室から撤退する事にした。
これ以上あの二人の痴話喧嘩に巻き込まれるのは御免である。
「全く馬鹿馬鹿しい・・・」
リヴァイがそう零すとミケは目を細めてスンと鼻を鳴らした。
「それには同意するが、以前のような空気が戻ってきたようで
俺は嬉しいがな」
「・・・・違いねぇ」
リヴァイはミケと軽く笑い合いながら、
エルヴィンが早く団長の仕事を始めることを祈った。