過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第18章 寄付してくれた婦人
「ところで、エルヴィンよ。お貴族様から約束の金は貰えたのか?」
「あぁ、恙無く頂けたよ。ついでに誰からの寄付金かも暴露してもらった」
「ほう?そいつは良かった。で?どこのお嬢様からの
ご寄付だったんだ?」
「うん、そこにいる・・・ジリジリ後退していっている
銀髪の子からだったよ」
「あ?」
「は?」
エルヴィンの言葉にリヴァイとミケが同時の声を上げ、
ナナシを凝視した。
視線を一身に受けたナナシがビクッと身体を震わせ
目を泳がせているのを見て、二人はエルヴィンの言葉が
本当なのだと実感したが、何故ナナシがそんな多くの遺産を
貰えたのかよくわからず、エルヴィンに説明を求める。
斯く斯く然々で、かつての仲間からの遺産を貰うことになったナナシが
金欠の調査兵団に寄付してくれた事を告げたエルヴィンは
眩しいものを見るように「いじらしいだろう?」と笑った。
「これで私の事が嫌いだなんて、とんだツンデレさんだと思わないか?
もうこれは私を愛しているだろう。だが、きっとナナシには
私に気持ちを打ち明けられない事情があって
素直になれないだけなんだと思う。普通こんな大金を
ポンと寄付出来ると思うか?思わないだろ?
私はこの話を聞いてナナシの私への愛を再認識したよ」