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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第18章 寄付してくれた婦人











「も、申し訳ありませんが、私が愛しているのは唯一人ですので・・・・」


ナナシがそう言うとアルフレッドは「残念」と言いながら、
エルヴィンから受け取った礼状をナナシに渡した。


「お二人でよく話し合った方が良いですよ、ご婦人」


その言動で誰が多額の寄付をしてくれた女性か察したエルヴィンは
愕然とした表情でナナシを見遣った。

アルフレッドは花茶を飲み干すと笑いながら去って行った。


実に良い性格をしているなと思っていると、
背後からエルヴィンに「ナナシ・・・」と
声を掛けられビクッとする。


「もしかして・・・君がこの寄付を調査兵団に・・・?」

「何の事だ?私はお主に小遣いを貰って暮らす貧乏人だぞ」


茶器の片付けをしながら惚けていると、その手を掴まれ
「はぐらかすな」と強い目で見つめられた。


「何故こんな巨額の遺産を君は受け取らなかったんだ?
このお金があれば一生遊んで暮らせたはずだ。
君が質素な生活を好む事は知っているが、それとこれとは話が別だ。
大金を前にすればどんな聖人君子だろうと少なからず人が変わる。
それなのに君は何故これを調査兵団に?」

「・・・だって・・・」


言い掛けてナナシは視線を逸らした。

受け取りたくない理由をエルヴィンに説明するには
『迅鬼狼』の生き残りがいた事も話さねばならないだろう。

ナナシが言葉に詰まっていると、エルヴィンから驚愕の事実を聞いた。





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