過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第17章 囚われてしまった
「あぁ、俺は何ともない。君が命懸けで守ってくれたから。
すまない、こんな君を試すような真似をして・・・」
ナナシはそこで漸く試された事に気づいたが、
もう反論する気力も無かった。
彼が窓から落ちた時、生きた心地がしなかった。
エルヴィンが目の前で死ぬ光景は絶対見たくないと、
無我夢中で手を伸ばした。
空中でエルヴィンを掴んだ瞬間、もうダメだと思った。
自分はもうエルヴィンに囚われていて離れられないのだと。
頑張って離れようとしても、エルヴィンが追ってきて
すぐまた捕まってしまう。
これはもうナナシの負けだ・・・・。
だから負けを認めるようにナナシもエルヴィンを抱き締めた。
腕を回されたエルヴィンが満足そうに耳元で笑うのを感じて
面白くなかったが、このまま我を張り続けるのも面倒で
ナナシは静かに目を閉じる。
「お主のせいで身体が痛い。ベッドに運べ・・・」
「仰せのままに、俺の愛しい人」
額にチュッとキスを落としたエルヴィンは幸せそうに
ナナシを横抱きに抱えて、部屋まで戻った。