過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第17章 囚われてしまった
「早かったな。もう事情聴取は済んだのか?」
あっけらかんとそう言われたエルヴィンとリヴァイは、
部屋の隅で頭を抱えているナナバに説明するように視線を移すと、
彼女は「もうその辺で下ろしてあげなよ。気絶してるでしょ?」
と言ってナナシに補佐官を離すように促した。
ナナバの言葉に従い、ぞんざいに補佐官を床に転がしたナナシは
何事もなかったようにベッドに座り、唖然とするエルヴィン達に
小首を傾げてみせる。
「どういう事だ?ナナシ」
硬い声でエルヴィンが問うと、
ナナシは男達が『女』に頼まれてナナシを襲撃したと
語っていたが、エルヴィン達がここにいる限り真犯人である女は
雲隠れして出て来ないだろうと考え、一計を案じたのだと告げた。
エルヴィン達を下っ端である男達の尋問に向かわせれば、
エルヴィンを崇拝する『女』は絶対ナナシを殺しに来ると
考えたらしい。
ナナバには二人きりになった時にこの事を伝え、
『女』が来たら何食わぬ顔で通して欲しいと頼んだが
良い顔はされなかったとナナシは肩を竦める。
案の定『女』がナナシを襲いにやってきたので、
一発殴って窓から『女』を吊るし(ここは三階)
尋問をしていた・・・という事だった。
その話を聞いたエルヴィンは険しい表情でナナシを見据えた。