過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】
第3章 不運な男
ナナリーが住まいを転々としているというから、
言われた通り『ナナシ』という男に調べ物を渡すしか
約束を果たす方法は無い。
しかし、エルヴィンに見つかればナナリーに何を頼まれた!?と
尋問されそうだったので、秘密を守るため(と、己を守るため)には、
彼に見つからないようにする必要があった。
ええい、儘よ!と腹を括り、ナイルはそこら辺にいる兵士を捕まえて、
ナナシの居所を聞き、さっさと会ってさっさと帰れば
何とかなるだろうと足を踏み出した。
調査兵団本部の門を潜ると、眼前を四人の兵士が通りかかったので
ナイルは早速声を掛けた。
「あー、すまないが聞いても良いか?」
「これはナイル師団長!?」
「何か御用でしょうか?」
四人はすぐにナイルが憲兵団師団長だとわかったらしく、
きちんと敬礼した。
良かった・・・たまたま声を掛けた四人組がマトモそうで、
とナイルは胸を撫で下ろしながら尋ねる。
「ここに臨時で雇われてる『ナナシ』って奴がいるだろう?
ちょっと呼んできてくれないか?」
ナイルがそう言った瞬間、今まで敬意を払っていたはずの四人の表情が
親の敵を見るような物凄い形相に変わった。