• テキストサイズ

過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 後編】

第16章 襲われる













リヴァイはわかっていた。


ナナシが何のために隠し続けてきた身体を晒したのか、を。



ナナシは秘密を全部ばらした後、調査兵団から立ち去るつもりでいたのだ。

そんな事させてたまるかという思いと、
傷ついたナナシを癒してあげたくて彼の身体を力強く抱いていると、
ナナシもリヴァイの身体に手を回ししゃくり始める。


痛くて、辛くて、恐かったのだと本音を吐露するナナシの気が済むまで、
リヴァイは幼子を慰めるように背中を擦り続けた。



暫くそうしていると、漸く冷静になったナナシがおずおずと
リヴァイの胸から顔を離し、俯きながら「すまなかった」と
恥ずかしそうに言った。

リヴァイはそんなナナシに微笑みながら「構わねぇよ」と返す。


「おまえは化物なんかじゃねぇ。化物だったら今みたいに
泣けねぇだろ?人と違ったっておまえは俺達の仲間だ」


だから今までのように一緒にいろと言うと、
ナナシからは歯切れの悪い答えが返ってきた。

この期に及んでまだ何か蟠りがあるらしい。


だがそれも仕方無いか、とリヴァイは考える。
調査兵団に戻ってきたと思ったら、
男に何度も襲われるという恐怖を味わったのだ。

ナナシが調査兵団に愛想を尽かしてもおかしくはない。

リヴァイは壊れ物を扱うような優しい手つきでナナシの頬を撫で、
腫れた顔に顔を歪める。


「悪かった。俺達はおまえに酷いことばかりしている。
おまえをこんな目に合わせた奴らは絶対許さねぇ。
俺がここにいるから、おまえは少し休め」


ナナシはコクリと頷いて大人しくベッドに入った。

ナナシに薬を飲ませ、殴られて腫れた頬に湿布を貼ってやっていると、
廊下から物々しい足音が聞こえてきて乱暴に扉が開かれた。







/ 403ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp